【書評】スノーピーク「好きなことだけ!」を仕事にする経営

スノーピーク「好きなことだけ!」を仕事にする経営

アウトドアブランドの横綱と言っても過言ではないスノーピークの代表の山井さんの本を読みました。広告を一切使わず成長を続けている経営には興味があったのですが、商品開発もマーケティングの一部だということを再認識する一冊でした。印象に残った点を紹介します。

年商は5億円から45億円に利益も17倍に成長

著者の山井さんがスノーピークに入社した当時年商は5億円、社員数は15人、売上総利益1.3億円の小さい会社だったのが30年経ち、社員数は10倍以上の160人、売上は9倍の45億円、売上総利益は17倍の23億円まで成長しました。

今でこそアウトドア好きなら誰もが知っているブランドだと思いますが、当初は小さい会社だったんですね。

でも売上総利益率50%というのはかなり利益率が高い部類に入ると思います。てかすごいなー。

スノーピーカーと呼ばれる熱狂的なファンが支える会社

スノーピークにとってロイヤルカスタマーといえるのはプラチナカード、ブラックカードの保有者だ。2014年末でプラチナの保有者が5500人ほど、ブラックカードの保有者は600人ほどになる見込みだ。つまりプラチナ以上の保有者はカード会員全体から見ると、人数では6~7%ほどの比率にすぎない。しかし、スノーピークでは、この層の売上が全体の4分の一を占めている。それだけスノーピークの製品やサービスに深く興味を持っている熱心なユーザーに支えられている。

スノーピークにはポイントカードの制度があり、プラチナは30万円分の製品を買うこと、ブラックは100万円の製品を買うことが条件になっているそうです。

スノーピークの製品はお世辞にも安いとは言えないので、これくらいの会員制度設計でも大丈夫なのだと思いますが、一般的な会社員の目線からするとハードルが高すぎるのでは?と心配になりますが、コアなユーザーほど知的好奇心が高く所得水準が高い人が多いとのこと。

理由としてわざわざ原始的な生活をするアウトドアは普段の生活が知的でないと楽しむことができない。また、購入するのにはある程度の所得が必要であるからではないかと著者の山井さんは述べています。

徹底したユーザー目線の商品開発

山井さんが86年に入社して一番初めに作ったテントは16万8000円でした。それまでアウトドアのテントは19800円や1万円弱のテントが主流だったが、雨漏りをしたり風が吹くと潰れてしまったりしたそうです。

もっとしっかりしたテントが欲しいという強い想いがあった山井さんはこれ以上ないと言える品質のテントを作り結果的にコストがかかり16万8,000円になったそうです。

周りはこんなに高いと売れないだろうと言う人が多かったそうですが、実際に蓋を開けて見ると初年度で100張ほど売れたそうです。思い切って他社との差別化を図った狙いが当たり、「もっといい製品が欲しい」と思っていたユーザーにとって納得できる製品を買うことができた瞬間でもあります。

ユーザーのインサイトを見事に捉えて、商品開発をすれば売れる良い例だと思いました。

この感覚というか考えは今もなおもちろんあり、社員自身もアウトドアの熱心のユーザーであることから何があったら便利なのかということをユーザー目線で考えられることがブランディングや商品開発に繋がっています。

何より自分の好きなモノづくりをする。この考え方を突き詰めるということでしょうか。

ちなみに商品づくりには徹底してこだわり、広告は一切打っていないそうです。

広告を打たなくても、コアなファンがまたファンを紹介してくれるという考え方ですごく好きです。

コアなファンづくりを愚直にする

スノーピークではスノーピークウェイというキャンプイベントを開催している。ここではコアなファンに参加してもらい山井さんはじめ社員と話すことができる機会を設けているとのこと。

ユーザーの声を実際に面と合わせて聞くことで経営方針のアイデアなど色々なことをユーザーから教えてもらえるらしい。

基本的に山井さんはユーザーからキャンプサイトに呼ばれたらそれを断ることはせずに、実際にキャンプの中にお邪魔するようにしているそうです。

社長がそれほどユーザーを大事にしていたら、社員にも浸透するよなと思いました。

製品には保証書がない

これは有名な話かもしれませんが、スノーピークの製品には保証書が付いていません。

えっなんで?

と思うかもしれませんが、永久に製品の保証をしているためわざわざ保証書をつける必要がないということだ。

メーカーとしてそれだけ自社製品の品質に自信を持っているし、当然のことをしているだけだ。

個人的にこの永久保証をすることで製品の品質をアピールすることができるし、製品へのこだわりや製品と本気で向き合っていることも伝えることができるので一種のブランディングとしては全然ありだなと思います。

パタゴニアなんかもそうですよね、確か。

パタゴニアの製品保証
http://www.patagonia.jp/ironclad-guarantee.html

食品とか他の業界のメーカーさんでもこの手法はありなんではないかと思いますが、それも製品力があってこそですね。

採用の基準は一晩を空港のベンチで一緒に過ごせるか

採用の際もこだわりがある。アウトドアが好きかどうか、スノーピークが好きかどうかと同時に主体的に動けるのか、周りの社員とうまくやっていけるかどうかを重視しているという。

製品開発に力を入れて、オリジナリティのある製品を作り出さないといけないため、これまで前例のない領域に主体的に動いてチャレンジすることが求められること。

また、グーグルが採用に当たってボードメンバー全員が「アクシデントがあって1晩を空港のベンチで過ごさなければならなくなった時、この人と一緒に居られるかどうか」を採用の基準としているらしく、スノーピークもこの手法を参考にしているそう。

能力ももちろんだけれども一人ではなく、周囲に対してプラスなことを与えることができる人物を採用しているということが印象的でした。

育成においても、新入社員には全員キャンプ研修を受けさせるそう。アウトドア好きで終わるのではなくしっかりとキャンプの技術を身につけさせてユーザー目線で考えられるようにするというのも徹底しているなと思いました。

以上、他にも色々本書には書いてあるのですがマーケティングのヒントになる考え方がたくさん詰まった本だと思うので興味のある方は是非読んでみることをおすすめします。

 

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